布絵本と布おもちゃの部屋
高校生の時、福祉を学ぶことを決めていた私は障害者問題総合雑誌『そよ風のように街に出よう』を購読していました。
その雑誌の文通欄に応募して、住所と名前を載せてもらったこともあります。
今では考えられないけど、それが全然オッケーな時代でした。
そこで出会った方は、近くにお住まいの私より10歳くらい年上の女性の方。詩人で、カリエスを患ってらっしゃいました。
その方とは私が山口を離れるまで、何度かお会いしておしゃべりしたことを覚えてます。
最後にお会いした時、出版された本と小瓶に入ったセロファンで作られた折り鶴をくださいました。
小さな小さな瓶の中に10羽丁寧に折られた鶴。
その後9回の引っ越しをし、いろんなものを片付けたり失ったりしていたのに、この小さな折り鶴の瓶はずっと私のそばにいたんです。
昨日、双子がちょっと空き箱の取り合いで揉めてまして、何か彼が喜ぶものはないかなあと部屋を物色していた時、その小瓶が目に入りました。
小さな折り鶴、これは双子はきっと喜ぶな。
これをお裾分けしよう。
双子には「大事に40年持っていたもので折った方は病気で亡くなられたの。大切に持っていてね」と言って、家にあったプラスチックの小瓶に入れてプレゼントしました。
彼らには、赤を2つ透明を1つづつ、私の瓶には赤が2つ透明が2つ残りました。
後から、折り鶴の意味とか言えばよかったかな、と思っていたら、ママからLINEで
「1人の子が誰もいないところで『みんなが平和になって、遊ぶこともできて、元気になってください』とお祈りしながら大事な物入れに入れてました。
お守りのビンって呼んでます」
と教えてくれました。
おお、伝わってるやん、平和なんて言ってないのに、汲み取ってるわ、、、
3等分された小さな折り鶴、きっと馬越さんもお空から嬉しそうに眺めてくれてるんじゃないかしら。
そう思いながら、いただいた詩集を久しぶりに広げました。
あの時お会いした馬越さんの年齢を大きく超えてしまった私。
元気に頑張ってますよ!
「秋の深い夜に」
秋の夜は あまりに深いので
のぞいてみると 底の方に小さく
ぽつんと坐るわたくしが居る
のぞくのなら声をかけて下さい
と言う
しばらく話していって・・・
と言う
ここに一緒に坐って?
と言う
そしてかすかに光るのである
生きている命を光らせて
秋の深い夜の底で
小さなわたくしが