布絵本と布おもちゃの部屋
翻訳家の金原瑞人さんのHPで、本の奥付けの印章の話が出ていました。
http://blog.kanehara.jp/?day=20241110
昔の本には著者の印鑑が奥付けに貼ってあったということなんですね。
これは検印、つまり著者が発行の承認、発行部数の検査のために押していた印だそうです。
私も昔の本あるわ、と探し出したのが北原白秋の詩集『わすれなぐさ』
これは、私の祖母の本、多分。
祖母が亡くなって30年くらい後、祖母の家を整理した時に出てきた本なんです。
表紙は多分布で覆われてたみたいだけど、もうボロボロでカバーをかけてます。
でもちゃんと読めるし、後ろには祖母の字で(多分)鉛筆で書かれた俳句もある、私の宝物の一つです。
その本の後ろをめるってみると
ありましたありました。
北原白秋の印章。
金原さんのブログでは、「『嵐が丘』が売れて売れて、翻訳家の方が検印を押す腕が痛くなりましたと言っていた」と書いてありました。
直接翻訳家や著者が押すってこと!?
ということは、もしかしたらこのハンコ、北原白秋が押した可能性もあるってこと!?
おおおお、ロマンだ。
祖母の持っていた『わすれなぐさ』は大正13年に出版された第7版。
今はこの本は再販されてないんですけど、当時は人気があったんだろうなあ。
祖母は25歳くらいだったのかな、
ちょっと恋の詩なんかあったりするんです。
祖母はロマンチストだったんだなあ。
戦争で伴侶(つまり私のおじいちゃん)を亡くして、生きるためにとても厳しい人だったと母から散々聞かされてきたけれど、本当は夢見る女性だったんだろうなあ。
本の上部の側面がうっすら金色に光っていて、天金加工されていた本だと思います。
布製の表紙に天金加工の北原白秋の詩集を、
久しぶりに祖母を思いながら読む、秋の深い夜。