布絵本と布おもちゃの部屋
ちょっと戸棚を整理すると、見覚えのある懐かしい字が見えました。
母方の祖母の家を人に譲る時整理して出てきた父がひいじいちゃんに宛てた年賀状です。
切手もまだ7円の時代。まだひいじいちゃんが生きてたってことは、私は小学生になってないくらい。
まだみんな生きていたんだなあ。
私が初めて身近な人の死を経験したのは、このひいじいちゃんからでした。
この後、何度この辛い思いをしなくちゃいけないんだろう、と幼い心にそう思って、大袈裟にいうと生きる辛さを知った時だったと思います。
自分が一番早く死んだらこの辛さを知らなくて済む、って思ったことを今でも覚えてます。
でも、譲葉のように順番に死を見送ることこそ穏やかな人生だということを歳を重ねて知り、そうやって90歳まで生きた父を父の文字を見ながら慕んでます。
父は字が独特で、まあ、単純にいうと下手くそだったから、高校の時郵便局で年賀状の住所の仕分けをしてた時、表書きで父だとわかったくらいです。
こんな昔の紙っきれが捨てられないんだなあ。
そこには、今の私を形作ってる何かが潜んでいるからなんだろうな。
ちなみにこの椅子は、そのひいじいちゃんが私に作ってくれた椅子。後ろの絵はそうめんの蓋の木で作ってうさぎのえを描いてくれたもの。
その上に座っているのは、祖母が認知症になってから大事にしていたお人形。
そしてお人形が持っているのは、ひいばあちゃん(ひいじいちゃんの連れ)の織った布で叔母が作った小物入れ。