布絵本と布おもちゃの部屋
教室の生徒さんの中に、すでにご高齢の方のための居場所作りをされてる方がいらしゃっいます。ここで教えたもらった作品を教えていいですか?というご相談を受けたので、「どうぞどうぞ」と、時々材料もおわけしたりしてます。
町内会でやってらっしゃるわけでもなく、県またぎの京都での活動。どういう経緯なのか詳しくこの間お聞きしたんです。
生徒さんは70代後半、高齢の方のいろんな勉強会に参加されてるされて、その時出会った方と勉強会をしようという話になったようです。例えば高齢者のお金の問題とか、健康のこととか。でも硬い話ばかりだと人はこないよねえ、ということで、何か作るのはどうか、という話になったようです。
お料理もいいし、「そういえば〇〇さん、布絵本おもちゃ教室に行ってらしゃるんですよね、何か教えられませんか?」ということではじまったようです。
会場は、メンバーの方のお家を開放。午前中手作り教室。みなさんお弁当を持ち合わせて、午後からお勉強会という流れ。
この間はおじいちゃまがお孫さんのためにケーキの布おもちゃと作られたそうです。
ボンドを使う作品で、不慣れな方で机がべちゃべちゃになったそうだけど、なんとか作品は完成。その後お孫さんが喜んだかはまだお聞きしてませんけど。。。
でもその生徒さんがおっしゃるには、「男性の方は、玉留めもできないので教えてあげたんですけど、これからの人生、ご夫婦でどちらが生き残るかわからないでしょう。
ボタンをつけたり、そういうことができた方がいいですよねえ」
あ、そういう側面もありますよね。この年代の男性の方は本当に縫ものと無縁だから、そういう側面での手芸も大切だなあと、思いました。
生徒さんが心を病まれて心療内科に通われるようになったのは、3、4年前だったかな。
それでも教室は心の病院だと言って来てくださってました。
その時、いつも季節タペストリーのキットを1か月ごと注文されて、「え?も前作ったよね?誰かにプレゼントされるの?」と聞くと、「今通ってる心療内科にあげるんだ」とおっしゃってて、一年分作られました。
この間の教室の時、嬉しそうに「待合室の壁に飾ってくれてるんだけど、来てくれてる方が『癒されます』ってとても喜んでくれてるって。誰が作ったのって聞かれるらしいんだけど、絶対私って言わないで、って言ってるんや」って報告してくれました。
「おお、タイガーマスクだね」と教室中盛り上がりました。
手作りの季節のものが飾ってあると和むんだろうなあ。心がちょっと疲れた方には特に、ホッとするんだろうなあ。
そして生徒さんにとっては、自分の針仕事が役になってることが、心の元気に繋がるんだろうなあ。
1月は干支。2月は節分。3月はお雛様。4月は入学式。
以前作っていたブレーメンの音楽隊の楽器、今更ですけど一体何を参考に作ったんだろう、というくらい今悩んでます。
多分、ブレーメンの音楽隊の絵本を見て作ったは作ったんだけど、どうも違う。
グリムの原作と思われる、翻訳された文と付き合わせてみました。
まず、ロバが犬にこう言ってます。「おいらはこれからブレーメンの街へ行くんだが、一緒に行かないか?街の音楽隊に雇ってもらってギターを弾くんだ。おまえさんは太鼓を叩けばいい」
ここはあってる。
で、次からが問題。猫にこう言ってる。
「おまえさんは夜の音楽が得意だ。」
夜の音楽!?って何?それを私が見た絵本ではアコーディオンにしたんだろうなあ。
で、さらに問題は次。雌鶏へこう言った。
「おまえさんはいい声をしているからおいらたちに合わせて歌ってくれよ」
楽器を持たないじゃん!!!多分絵本ではここをラッパにしたんだろうなあ。
色々な絵本を見てると、夜の音楽にラッパを当ててるところもあります。
そこでYouTubeに何かヒントはないか探してみると、そのことについて話してる方いて、どうも原文ではギターはリュート、太鼓はティンパニー、で、猫のところは夜の音楽というより、セレナーデ(小夜曲)となってるらしい。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。
今の所、ギター、太鼓、ラッパ、が無難かなあという線で進めてます。
この写真は旧布絵本のブレーメンの音楽隊の布絵本。
今日は双子の孫がうちでご飯を食べる曜日で、好物のお好み焼きを焼いて出したんですけど、いつもより食が進まない。まあ、そんな日もあるよね、ってくらいの感じだったんですけど、ママがすまなそうに
「食べちゃダメだよって言ってたんですけど、ここにくる前にこっそりメロンパンスティック食べたみたいで」ということらしい。
「口の周りに砂糖がついてるからバレバレなんですけど2人とも『食べてない!』って言うんですよ。」
そこでママが機転をきかせて私が作った布絵本のうさぎ人形を持ってきて「このうさぎさんは本当のことがわかるんだ。さあ、うさぎさん、本当のことを教えてちょうだい」と言って、うさぎさんは双子の周りをクンクンしました。
「うーん、メロンパンスティックを食べてるね。食べた子、手をあげて!」と言ったら、2人とも手をあげた!らしい。
生身の人間(つまりママ)より、うさぎ人形!どーしてだろう。
そういえば、前も保育園の先生が、「パペットを使うとよく話を聞いてくれます。話を聞いてくれないママたちも、パペットで話すと聞いてくれたりするんですよ」と笑いながらおっしゃってました。
なぜだろう。人形は何を引き出してくれるんだろう。
私の作品のキットの大半は細かい作業が多くて、今の時代に合わないんじゃないかという不安をいつも抱えてる昨今。
まだキットにしてないものも半分以上あってキットにするのはとても大変で、やめちゃおうかなあとよく思います。
例えば『オオカミと7ひきのこやぎ』とか『赤ずきんちゃん』とか、オオカミが食べちゃうなんて、今の時代のママたちのニーズと合わないんじゃないかと思うと、キットにしても無駄かなあとか思ってしまう。
実際オオカミが食べて、お腹から出す仕組みが私としては超自信作なんだけど、そこが今の時代アダとなってるかも。
そんな中、久々キットの注文が入りました。
「ブレーメンの音楽隊」のつり飾りキット、と「恐竜10個セットのキット」
お便りメールに、「読み聞かせのボランティアをしてます。子どもたちとの距離が少しでも近くなればと思い、購入させていただきました」という内容でした。
嬉しかったです。
少ないけど、ニーズはあるかもしれない。そして作り手から遊び手に、何か伝わるかもしれない、
そんな希望の光が見えたお便りでした。