布絵本と布おもちゃの部屋
その方は去年の秋にこの教室にいらっしゃいました。
とてもおとなしい方で、穏やかな方で、縫うスピードも緩やかで、おっとりされた方です。
ここにいらっしゃってる時間だけ縫ってらっしゃるようで、作品も7ヶ月経った今もまだ途中。
「そういう作り方もありますから、無理をされないようにね」って言ってます。
ちょっと前に連れ合いの方を亡くされたというお話をお伺いしたのは、教室に来られて2ヶ月くらい経ったあたりだったかなあ。
そこからようやく外に出ようという気持ちになって、こうやって教室に来て、生徒さんたちの会話を聞きながら、ちょっと笑われたり。
5ヶ月目くらいに、薄くお化粧をされるようになりました。
そして昨日は、この教室のLINEグループがあるんですけど、入られます?って聞いたんです。
「どうやったらいいか、ちょっとやり方がわからないんですけど。はい、入ってみます」
で、晴れてLINEグループの一員に。
他の皆さんからLINEのご挨拶に「よろしくお願いします」と返信されてました。
何かを始めると、新しい出会いもセットでやってきて、そして新しいことをやっていこうと思うきっかけになったりします。
この教室で、生徒さん同士教え合いながら段々慣れて行かれた方もいらっしゃいます。
縫い物だけじゃない、何かにつながっているんですね。
2月から関わっているぶらっと169ばんちさんの活動は、第1火曜日の午前中。
お部屋に飾られてる木を彩ろうっていう企画。名付けてハンドツリー。
4月初めのこの時間、いろいろ年度はじめ忙しいこともあってか、後半お一人いらっしゃって、宿主さんと私と3人の時間でした。
そのあとからいらした方は、70代半ばで針を持つのがちょっと辛いから見てるだけね、と言う参加のされ方。
いろいろお話ししてると、窓の外に見えるお花はこの方が育てていらっしゃると言うお話。
「あれはアネモネ。きれいに咲いてくれたわ。お花は手をかけたらかけた分、応えてくれるから」
このセリフ、母もよく言ってました。「子どもはそうはいかなかったけど」と言うセリフと共に。
「家には庭がないからここで育てさせてもらってるの」とおっしゃってました。
そしてこの場に集う人々を癒してくれる花たち。
まだ3ヶ月だけど、居場所作りの場に関わらせてもらって、(waiwaiスポットさんも含めて)時間の流れ方とか、関わり方とか、学んでます。
私はいつも手芸好きな方との時間が多かったから縫うことへの楽しさばかりを考えていたけれど、苦手な方やしんどい方もいらっしゃる中、ピンポイントで楽しみを見つける方も、なんとなく参加してる方もいる。そういう位置にあるんだということを、ぼんやり掴みかけてます。
そこをどう理解して、活かして形にしていくかだなあ。
そうそう!お部屋に飾られた木の絵には、たくさんの桜が開花!
いろんな時間に集った方々が参加して、見事に部屋に春をもたらしてくれてます。
5つ作ったら一個持って帰っていいよ、と言う約束で頑張った新中学生も。
昨日はiPadを持っていき忘れたので写真は後日送っていただく予定。
土曜日の母子生活支援施設での講習の担当の方は、毎回講習で作ったものを作られます。
お子さんが小学2年生で、作るたびとても喜んでくれるというお話をお聞きしてます。
特にサコッシュ。これは一緒に生地を見て買って、途中お子さんができるところは手伝ってもらって完成させたんです、と言ってお子さんが肩にサコッシュをかけた写真を見せてくださいました。
「お友達の家に行くときは、必ずこのサコッシュを持っていくんですよ。中に前ここで作ったぬいぐるみを入れてね。
で嬉しそうに、『ママが作った』って言うらしいです」
もしかしたら、大人が思う以上にお子さんにとってママ(ママに限らず)が作ったと言うことの意味が大きいかもしれないなあと思いました。
「作品ができるたびに『ママ、すごい!」って尊敬されるんですよ」
それを友達に見せる、そして友達も驚く。それを作り手の大人が聞く。
この循環。
それを実感してこそ、母子生活支援施設での意味もまた違った観点から取り組めるのではないか、と思ったのです。